麦畑

 日本の里山を黄色く彩るもの、春には菜の花畑があり、初夏には麦畑の麦秋があります。菜の花畑の黄のイメージは、「鮮やか」「華やか」「みずみずしい」「甘い香」でしょうか。一方の麦秋の黄は、「やや渋い」「控え目」「乾燥」そんな感じがします。麦畑を毎日見ていますと、麦穂の色が、青緑から黄緑、黄、黄銅、海老茶へと変化して行きます。麦穂の色が変わるとともに麦畑全体も表情を変えます。

  穏やかな麦畑も、ひとたび風が吹きますと様相は一変します。周囲の田圃や山の光景は初夏の装いをして静かに佇んでいますが、麦畑だけが一人ざわめき立っています。まったく別世界、異次元世界なのです。しかもその騒がしい麦畑を、私は普通にカメラのシャッターを切っただけなのですが、出来上がった写真は、まるで絵画です。何の画像処理もしていないのに、油絵具で描いた抽象絵画のように見えます。その絵のような不思議な写真、どうぞご覧ください。

背景の田圃や山は初夏の装いで静かに佇んでいますが、麦畑だけが一人ざわめき立っています。
風に騒ぐ麦畑。何の処理もしていませんが、油絵具で描いた抽象絵画のように見えます。
麦の穂先の一部が光を受けて白く光り、小さな鳥が飛んでいるように見えます。
周囲の麦穂は黄変し風に揺れているのに、まだ青い麦穂の小さな群が取り残され孤立しています。
すっかり熟れた麦畑。薄茶色の何とも言えない世界です。