犬たで(イヌタデ)

 犬たで(犬蓼:イヌタデ)はどこでも見かける雑草ですので、普段あまり気に留めませんが、よく見ますとなかなか美しい姿形をしています。しかも蓼には犬たで以外にも柳たで(柳蓼)、桜たで(桜蓼)など種類も多く、格段に美しい花を咲かせるものもあります。
 犬たでは、タデ科イヌタデ属一年草で草丈20~40cmぐらいで道端などに群生します。直立する花穂には赤いつぼみや花が密集し、披針形の葉の深い緑に美しいコントラストを描きます。赤いつぼみを赤飯になぞらえ「赤まんま」とも呼ばれます。

上から眺めた犬たでの群。花穂の赤と葉の緑が美しく調和します。
犬たでには、つぼみも花も白いものがあり、シロバナイヌタデ(白花犬たで)と呼ばれます。白と赤の犬たでが入り混じって群生する様は、見ていて楽しくなります。
晩秋の里山で犬たでの赤が彩を放ちます。遠くの山もやさしく霞みます。
路面に美しい幾何学模様のシルエットを描く犬たでの群
夕陽に映える犬たでの堤。赤い帯がどこまでも続きます
朧気の中で林立する犬たでの群
柳たでは、葉に辛みがあり鮎の塩焼きに添えられる蓼酢の材料として使われます。ボントクタデ(凡篤蓼)などよく似たタデもあり、見分けることはしばしば困難ですが、葉を噛むと辛いことから区別できます。
柳たでの花穂はしなだれて、つぼみは赤く白い花が咲きます。