百日紅

 百日紅(さるすべり)は、夏から秋にかけて百日もの長い間、紅い花を咲かせるものですから「ひゃくにちこう」とも呼ばれます。ミゾハギ科の落葉中高木で、幹や枝の樹皮がすべすべしていて、猿も滑りそうだからこの名が付いたのはご存知の通りです。実際は猿も鳥も滑らないそうですが・・・。百日紅は、お寺の境内やお墓で咲いているというイメージが強いのですが、中国への留学僧が日本へ持ち帰ったからとか言われます。日本の暑い夏をお墓で静かに咲く百日紅、物騒がしい世の中をどのように思って見ているのでしょうか。
               炎天の地上花あり百日紅      
                           高浜虚子

じりじりと照りつける炎天の下、高台の墓地に満開の百日紅。日本の夏を遠望しているようです。
夏の高い雲の下、翼を拡げたように咲く百日紅
入道雲がよく似合う百日紅
団扇状に並んだ百日紅の花弁 
「めしべ」(緑矢印)と「おしべ」
開いたばかりの百日紅の花。赤紫の花弁から成る風車(かざぐるま)の様です。
このように下方にも花弁があって、6枚の花弁が輪状に並ぶのは滅多にみられません。
中央には未だ成長していない「めしべ」と「おしべ」。くしゃくしゃ頭の赤子(あかご)のようです。

せみなくやつくづく赤い風車 
                  一茶
夏の夕陽を名残り惜しそうに見送る百日紅