秋海棠(しゅうかいどう)

 「秋海棠」は、シュウカイドウ科シュウカイドウ属(ベゴニア属)の多年生草本球根植物です。日陰を好み、秋の初めに花を咲かせます。中国では、春に咲く花の中で最も美しいのが‘海棠’(花海棠)と云われますが、秋の花の中で一番美しいから‘秋海棠’と呼ばれるようになったとのことです。花には雄花(おばな)と雌花(めばな)とがあり、ともに同じ株に咲くので「雌雄同株(しゆうどうしゅ)」と呼ばれます。
 雄花は「おしべ」しか持たず、正面から見ると中央の黄色い球の部分にたくさん集まっています。4枚ある花びらのうち左右にある小さい花びらが花弁で、上下の大きな2枚は萼(がく)なのだそうです。
 雌花は「めしべ」だけを有し、花の中心に3本ありそれぞれの先端(柱頭)は2つに分かれています。
 双方の花を側面から見ますと、雄花では花びらの後には茎だけで何もありませんが、雌花では後方に三角形の翼状の突起(子房に相当します)が3個付着していますので、その違いがよく分かります。
 一般に雄花は上を向いて伸びた枝につき、雌花は枝垂れた枝の先につきます。

たおやかに折れ曲がる秋海棠の枝は、人形浄瑠璃・文楽を演じる人形の仕草のようです。
ほんのり桃色がかった花びらと中心の鮮やかな黄色は、淡く紅化粧をした文楽人形の楚々とした顔立ちを彷彿とさせます。
雄花(左:正面像 右:側面像)
雌花(左:正面像 右:側面像)
秋海棠の花を陽に透かすと、花びらの生地が美しく透けて見えます。
葉の形は、いびつに不対称です。