ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)とトキワハゼ(常磐爆)、名前はあまり知られていませんが、どちらも昆虫のような面白い形をした花で、野山で偶然目にされた方もいるのではないでしょうか。双方の名前の由来ですが、ムラサキサギゴケは、紫っぽい鷺のような形をした花が苔のように地面を這いながら拡がっていくので、紫鷺苔となりました。花期は短く春から初夏までです。一方のトキワハゼは、春から晩秋まで長い間咲きますので「トキワ(常磐)」と冠せられ、種の詰まった丸い実が爆ぜるように割れるので「ハゼ(爆)」が語尾にくっつきました。花の形はよく似ているのに、名前がまったく異なるため、初め私は異種の植物かと思っていましたが、両者は間違いなく同種の植物です。旧分類ではゴマノハグサ科、サギゴケ属でしたが、新分類(APGⅢ)ではハエドクソウ科に移され、さらにサギゴケ属は独立してサギゴケ科になったとのことです。したがって双方ともサギゴケ科サギゴケ属に分類されます。ムラサキサギゴケは日本や中国、トキワハゼは東アジアに広く分布するそうです。