ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)とトキワハゼ(常磐爆)

 ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)とトキワハゼ(常磐爆)、名前はあまり知られていませんが、どちらも昆虫のような面白い形をした花で、野山で偶然目にされた方もいるのではないでしょうか。双方の名前の由来ですが、ムラサキサギゴケは、紫っぽい鷺のような形をした花が苔のように地面を這いながら拡がっていくので、紫鷺苔となりました。花期は短く春から初夏までです。一方のトキワハゼは、春から晩秋まで長い間咲きますので「トキワ(常磐)」と冠せられ、種の詰まった丸い実がぜるように割れるので「ハゼ(爆)」が語尾にくっつきました。花の形はよく似ているのに、名前がまったく異なるため、初め私は異種の植物かと思っていましたが、両者は間違いなく同種の植物です。旧分類ではゴマノハグサ科、サギゴケ属でしたが、新分類(APGⅢ)ではハエドクソウ科に移され、さらにサギゴケ属は独立してサギゴケ科になったとのことです。したがって双方ともサギゴケ科サギゴケ属に分類されます。ムラサキサギゴケは日本や中国、トキワハゼは東アジアに広く分布するそうです。

逆向きに並んで咲くムラサキサギゴケ(右)とトキワハゼ(左)。大きな虫が偶々すれ違った小さな虫を横目で睨んでいるようです。

最大の違いは、ムラサキサギゴケの方がトキワハゼより3倍以上大きいことです。右の写真は、それぞれの花を採ってきて定規の上へ並べて撮影したものです。ムラサキサギゴケの花(上)は長径で20~30mm、トキワハゼ(下)はせいぜい10mm強というところでしょうか。

花の構造は、どちらも前号で取り上げたマツバウンランに非常によく似ています。上唇、下唇の2枚の花弁から成り、下唇は、上唇に比べ3~5倍ほど大きく、3裂して3つの部分に分かれますが、中央部は盛り上がり、黄色から茶褐色の模様があります。
匍匐茎を有するムラサキサギゴケは、大きな青紫色の花がぎっしり群れて咲きますので、遠くからでもよく目立ちます。
トキワハゼの花は匍匐茎を持たないので散開して咲き、しかも花が小さくて白っぽいので目立たず、なかなか見つけられません。
黄や赤の花の咲く草むらに、潜むように咲く ムラサキサギゴケ。まさに昆虫の群です。
夕方になると、怪しく光るムラサキサギゴケ
 
ムラサキサギゴケの群れて咲く小道を、集団下校する小学生たち