ワルナスビ(悪なすび)はナス科ナス属の多年草で、北米原産、欧州からアジア、オセアニアなど世界中に広く分布しています。日本には明治時代後半に伝わり帰化したそうです。呆れるほど繁殖力が旺盛で、広く深い根茎(地下茎)が栄養繁殖をしてどんどん増えます。刈っても刈っても、抜いても抜いてもお構いなく、次から次へと増えて行きます。またナス、トマト、ジャガイモなど同じナス科の畑に増殖しますと、連作障害により翌年これらの野菜は作れなくなります。全草にソラニンという毒が含まれているため家畜の餌にもならず、黄色いミニトマトのような果実はさらに毒性が強く食べられません。「ジャガイモの芽を食べるな」とよく言われますが、それはソラニンを含んでいるからです。おまけに葉や茎には鋭く大きな棘(とげ)が多数あり、うかつに触れられません。このように悪いこと尽くめの「悪なすび(ワルナスビ)」、名付け親は牧野富太郎博士です。しかし夏の盛りに田んぼの畔などに群がって咲く白い花は、なかなか愛らしく可憐な姿をしています。